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〜 2012年度夏合宿 その2 〜

社会交通工学科3年 0166番 竹田 知樹

1. 計画・準備

 日本大学理工学部鉄道研究会は、今年で、生産工学部鉄道研究会と分離して25周年を迎えた。 これを記念して生産工学部鉄道研究会と合同で貸切列車を行う計画が浮上した。 人数は60人前後を想定し手頃な場所を探した結果、三岐鉄道北勢線で貸切を行うことが決まった。 しかし、社会交通工学科の会員がゼミ合宿と重なり、多数の部員が参加できなかったり、 生産工学部がまさかの参加者ゼロとなるなど予想外の事象が連続し、 蓋を開けてみると総勢24名のこじんまりとした規模になっていた。



2. 合宿1日目(9月7日 金曜日)

 まず、初日は15時に伊勢市駅集合であった。 これは、金が無いないという人の為に鈍行で来ても間に合うようにしたからである。 しかし、予想に反してこの経路で来た人は殆ど居なかった…。

 伊勢神宮をよく下調べせずに15時集合としたが為に、とんでもない事態になる。 何と内宮から外宮はバスで25分もかかることが判明したのである。 内宮は大急ぎで廻ることになってしまった。 それだけ急いでも帰りのバスは間に合わない事が分かり、皆でタクシーを利用した。 結果としてこれは大正解で、外宮に直接行く事が出来た。しかし、 タクシー運転手に伊勢神宮は内宮前の商店街が一番の見所であるとの話を聞いてがっかりした。 何事も事前調査は大切である。



写真1 伊勢神宮の参道を歩く


 夜、四日市の宿に着いてからまだ元気のある人は湯の山温泉へ出掛けた。 宿にも温泉があるので、わざわざ行かなくても良いだろうと高をくくって行かなかったが、 名物伊勢うどんが食べられたり、 素晴らしい温泉にゆっくりつかれるなど良いこと尽くめだったらしい。本当に残念だ。 因みにこの日は終始快晴、素晴らしい天気だった。



3. 合宿2日目(9月8日 土曜日)

 翌日、朝起きてカーテンを開けると雨。天気予報を見るとどうやら今日は止みそうにない。 残念だが仕方がない。そんな事を考えても仕方が無いので宿を出た。
 西桑名に着くと貸し切る予定の270型の編成が通常運用列車(東員止まり)として停まっていた。 これに乗り込み東員に着くと既に貸切乗車の人で人だかりが出来ていた。 残りの参加者も後続で到着し、慌ただしく説明をした後貸切列車に乗り込んだ。 列車が動き出すと私は車掌室立ち入り許可腕章をつけて放送で沿線の見所、 北勢線の歴史を案内した。途中、OBのKRさんが自動案内放送をしたが、 その場の人が皆笑顔になるような素晴らしい放送だった。さらに、 三味線の演奏もして下さり、車内は和やかな空気になった。 ハイライトの勾配区間は霧がかっていて幻想的だった。

 終点阿下喜に着くと、早速軽便鉄道博物館に入場した。 モニ226(電化開業時の車両)の車内で北勢線の歴史を聞いたり、 この日のために博物館の方が完成を間に合わせて下さった5インチ列車に乗車したりと実に楽しい時間だった。 私は何をしていたかと言うと、15インチ列車『ミニ電ホクさん』を運転していた。 この日の為に免許取得をしていたので、皆を載せることが出来て感無量だった。 そして発車時刻ギリギリまで楽しんだ後、慌ただしく貸切列車に駆け込んだ。 帰りは放送も控え目で、行きとは変わって静かな車内だった。



写真2 モニ226車内で博物館の方から解説を受ける


 終点東員到着後、会社のご厚意でCTCを見せて下さることになった。 普段まず見ることの出来ない裏側をじっくり見学出来た上に貴重な話も聞けて、 非常に有意義な時間であった。その後、楚原の三連橋付近で撮影会を行った。 この付近には世にも珍しいコンクリートブロックで出来た橋が2つある。 中でも桑名寄りの橋は川と45度で交わるように作られた滅茶苦茶珍しい橋なのである。 何故こんな珍しい物を作ったかと言うと、第一次世界大戦で鋼材の値段が高騰し、 鋼で橋が作れなかったからである。その証拠に、さらに阿下喜寄りの橋は開通当初、 鋼製でもコンクリート製でもなく木製であった。建設時の資金事情が垣間見える面白い事例である。

 撮影会終了後、再び阿下喜に行った。ここでまた軽便鉄道博物館を見学することが出来た。 226電車の車内で博物館会員(名古屋臨鉄勤務の方)から北勢線裏話を聴いたり、 車内の機器を動かすことが出来た。まるで電車が現役に戻ったような楽しいひと時であった。 スクラップ同然だった同車をここまで修復なさった博物館の方々には深く感謝したい。

 時間ギリギリまで博物館を楽しんだ後、今度は伊勢治田に向かった。因みに、 阿下喜から伊勢治田までは徒歩25分である。伊勢治田から電車で丹生川に移動し、 今度は駅前の貨物鉄道博物館を見学した。 ここは臨時開館の手続きをしていなかったので保存車見学だけのあっさりコースであった。 (とは言っても、保存されている車両は大物車や明治の貨車など貴重なものばかりであった。) 途中、博物館の脇を貨物列車が通過し、間近で貨物を見ることが出来たのは嬉しいおまけだった。 その後、四日市に戻り飲み会を開催した。これは大いに盛り上がり、 熱くなりすぎたが為に冷やす必要が生じた。(これが今や伝説となっている冷やしKTである。) これにて二日目は終了した。実に色々あった一日であった。



4. 合宿3日目(9月9日 日曜日)

 三日目もカーテンを開けると雨、しかも大粒である。天気予報を見ると志摩が出ていた。 しかも快晴で。どうやら我々の上空だけ強力な雨雲が発生したようだった。誰だいスーパー雨男は。 そんな事をぼやいても仕方がないので本題に入る。 三日目は近鉄内部・八王子線を散策するという昨日とは打って変わって緩やかな行程だった。 まずは八王子線の終点、西日野に行った。八王子線なのに日野が終点とは中央線みたいだが、 これは西日野〜八王子が豪雨で流された為である。中央線も日野が終点にならないか心配になった。 そんな事を考えたのは私だけではあるまい。 おそらく会長をはじめ部員の約半数がそう思ったに違いない。西日野には何もなく、 雨も手伝ってさみしい駅だった。次の電車で日永に戻り、内部線に乗車した。しかし、 当会恒例のハプニングが起きる。大雨で線路が冠水し、列車が止まってしまったのである。 どうやら線路脇の排水路の水が溢れたようだった。10分ばかり止まった後、 列車は最徐行で冠水箇所を通過した。まるで『千と千尋の神隠し』のワンシーンのようであった。 結局その後何事も無かったかのように遅れは回復し、定刻通りに四日市で解散することが出来た。 近鉄恐るべし。そんな訳で合宿は全行程が終了した。



写真3 大雨の中駅舎に避難



4. 総括

 今回の合宿は、大きなハプニングも無く成功裏に終えることが出来た。 これらは合宿に参加して下さったOB方々の尽力に依るものがかなりある。 さらに、無茶な旅行行程にも快く応じて下さった三岐鉄道株式会社関係者様、 私達部員の為にわざわざ博物館を臨時開館して下さった軽便鉄道博物館関係者様の方々には大変お世話になった。 この場をお借りして心よりお礼申し上げる。





 
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